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2008年 08月 07日
この本を初めて読んだのは中学1年の夏休みでした。 角川文庫だらけの次兄の本棚でバラ色の薄い背表紙を目にして取り出し、どことなく寂しい表紙の絵に惹かれたです。 もちろん最初は意味がわからず、それでも大人の世界への強い憧れからか、くじけず読んだ気がします。 照りつける太陽、青い空と海、若さゆえ持って行き場のない感情をもてあます退屈な夏の午後・・・ 夏になると読みたくなる大好きな本でした。 高校生の頃はおこづかいでビッフェのポストカードを集めてみたり。 悩み多き20代は『ある微笑』や『ブラームスはお好き』に身悶えするほど共感したものです。 ところが、結婚生活という現実の中に身をおいてからは、かつてあれほど感じた心がちぎれるような切なさが自分のなかではまったく薄れてしまったことに気付き、自然と手にとることがなくなりました。 やはり恋に恋していただけ? サガンの小説と共に過ごした10代・20代の自分は、根が単純でバカなくせに物事を複雑に深刻に考えて悩み苦しみ、そして最悪なことにそんな自分に酔っていて・・・ あ~思い出しただけで恥ずかしい。 あの頃に戻るなんてまっぴらごめんですが、それと同時に、今考えるとどうでもいいつまらないことで苦悩していたあの頃のバカさ加減を愛しくも思います。 だからこそ捨てられなかったこの本たち。 この10年の間にビッフェもサガンも訳者の朝吹登水子もこの世を去ってしまいました。 介護や義父との別れを経験した今ならまた違った感じ方がするかもしれません。 さて、お盆休みでガラガラになった通勤電車で読んでみることとしましょう。 この本は30年前の昭和53年に刷られたもので、当時中学生だった兄のキャラクターとはずいぶん違うなぁ、夏休みの課題図書だったのか?と不思議に思っていました。 (当時¥200、今は¥460で表紙もいまいち・・・) 二人とも大人になってから、兄になぜこの本を読んだのかとたずねてみたところ、意外な答えが返ってきました。 「他のクラスのあんまりよく知らない女の子からもらった。」 えっ?プレゼントってこと? 運動部丸刈り少年にこの本を贈るなんて一体どんな女の子だったのか、 今度はそちらの方が気になってしまいましたが、それは永遠に謎です。
by mucco
| 2008-08-07 21:30
| 本
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