「空間と作品」展

京橋・アーティゾン美術館で開催中の「空間と作品」展を鑑賞しました。
旧ブリジストン時代から見慣れている石橋財団のコレクションですが、
アプローチの変化によって新鮮な驚きを持って鑑賞できることを、
改めて感じました。
造形芸術作品は、主に依頼主の要望によって作成されます。
では、最初に作られたときはどんなふうに飾られていたのか？
最初に想定された鑑賞者にはどんな風に見えたのか？
それを体験できます。

円山応挙《竹に狗子波に鴨図襖》江戸時代 18世紀
襖絵を襖として見る。
館内に和室を作っちゃいましたの図。
パリでは和服で過ごすことが多い友人のすっとした正座姿を隠し撮り( *´艸｀)
結構近くまで寄って、繊細な筆使いや金箔を鑑賞できます。
障子を模した自然光の照明もあり、アーティゾン美術館、すごい！
壁の絵画　ザオ・ウーキー《無題》1962年

テーブルの上：奥から
イランの幾何文台付鉢　B.C.4000年紀！
唐時代の三彩万年壺　8世紀
ヘンリー・ムア《母と子（ルーベンス風）》1979

時代も様式もバラバラですが、この空間のなかでしっかりとまとまり、
さらに互いを引き立てているのが素晴らしい💛
家具が作品同士をつないでいる印象があります。

ダイニングテーブルからリビングの様子を見る。
エットレ・ソットサス《サイドボード》1959
サイドボード左上の絵画は　山口長男《累形》1958
黒い椅子の上の絵画は　三岸節子《カーニュ風景》1954ごろ
現代でももちろん通用する作品ばかりですが、
全て1950年代制作という同時代性のもつしっくり感も見逃せません。
黒い椅子の横にもソットサスのサイドボードがあります。
その他、パブロ・ピカソ《腕を組んですわるサルタンバンク》 1923年　と
以前の持ち主（超有名ピアニスト！）の関係性など、
作品を見て感じる「すごい」「きれい」「面白い」のその先にある事象について、
知ることができる展覧会です。

パンシェの悪い見本みたいだ……
ドガ《右足で立ち、右手を地面にのばしたアラベスク》
こちらの以前の持ち主は三井系の重鎮・三井高精。
大富豪のみなさん、たくさんの美術品を残してくれてありがとうございます。

また、今回は作品と額縁の相互関係にもフォーカスしています。
手仕事大好きなフジタは、作品に合わせて額縁も自作していたらしいし。
額縁マニアにはたまらないかも♡
16.0㎝ｘ27.2㎝の小さな小さな作品には、とてもシンプルな額縁が。
これ、ほしい。
パブロ・ピカソ《カップとスプーン》

牛島憲之《タンクの道》1955
作家自らが考案したデザインを基に、新しく作成された額です。
作品の延長のような質感で、ぐっと引き込まれます。
アーティゾン美術館「空間と作品」展は10/14（月）まで。
時間に余裕があれば、もう一度鑑賞したい面白い展覧会でした。

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