『普通の服を、はっとするほどキレイに着る』

いつから日本の40代女性は「キレイ」に着ることを放棄したのだろう。

カジュアル全盛の世の中の流れに逆らうつもりは全くないけれど、精神・肉体共に成熟期に入り、社会的にも大人としてのたしなみが求められる40代の生活のなかで、「抜け感」や「こなれ」といったカジュアルが通用しないシーンが案外多いのも事実です。
例えば、オフィス街での仕事、立場や役職によって依頼されるプレゼンテーション、自分や家族の仕事関係のお付き合い、観劇、ブティック、レストランやティールーム、父兄会、お見舞い、旅先などなど。
そんな時、だれもが持っているであろう普通の服をきちんとキレイに着ることが強力な味方になってくれることを『普通の服を、はっとするほどキレイに着る』は教えてくれます。
友人でもある著者madameHこと佐藤治子さんは、アパレルデザイナーとして40数年活躍した服作りのプロであり、フリーランスながらも様々な制約のある会社組織の中で手腕を発揮してきたため、私たちのような勤め人の気持ちや立場をよく理解しています。
そして何よりも、美しく年齢を重ねた（69歳！）人生の先輩でもあるmadameHだからこそ説得力があるのです。


第1章　おしゃれの基本は、普通の服をキレイに着ること
第2章　自分のサイズを知る
キレイに着るとは、きらびやかな服やトレンドアイテムをとっかえひっかえ着ることではなく、ベーシックで質の良い普通の服を、その時代に合ったサイズ感と着る人の体型とのバランスを考え、すっきりと着こなすこと、だそう。
その基準となるものは？さぁ、メジャーとメモのご用意を。

第3章　大人のパーソナルスタイルの作り方
この章はわれわれ40代女性へのエールです。
大人だからこそ着こなせる服を着よう、と上質なベーシックアイテムの選び方（素材やサイズ感のディテールがびっしり！）、ワードローブの組み立て方、素敵な掟破りの方法などが提案されています。
そしてずばり、キレイに着るために40代から意識しておきたいことも。
さらにはちょっと耳が痛い、大人が手を出してはいけない危険なアイテムまで、愛情を持って教えてくれます。

第4章　マダムH流「自分の制服」の作り方
madameHの制服＝スタイルについては、ブログの読者さんにとってもなかなか興味深いでしょう。
マダムと知り合ってから14年以上になる私は、人生最大の出来事からマダムの制服ができるまでずーっと見てきました。FP的に言っても、あれほど潔く生活スタイルを変えられる人は本当に珍しい。
スタイルとは単に服装を指すのではなく、その人の生き方が投影されているものなのです。

第5章　マダムH式・お買い物の極意！
ま、マダム、こんなこと書いちゃっても大丈夫？な業界裏話を織り交ぜながらの、価格や素材の秘密が抜群に面白い。
知っていると知らないとでは、モノ選びの基準が変わること間違いなし。


40代のみならず、大人としての余裕と節度をもったおしゃれとはなに？と戸惑っている50代、60代、そしてまだピンとこないかもしれませんが20代・30代の方は、本当の大人になるってこういうことなのだと知るチャンスかもしれません。
もちろん我がケチケチ贅沢日記の通勤コーディネートが好きで毎日見に来てくださる読者さんは、きちんとキレイに着ることが立場上必要とされ、またその装いが好きなはず。
『普通の服を、はっとするほどキレイに着る』は一冊まるごとヒントになるでしょう。

多様性が認められようになり、なんでもありの昨今。
だからこそ、若さにしがみつかない成熟した美しさも多様性の一つ。
普通の服をキレイに着て、堂々とキレイなおばさんでありたい。

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