コスモスの君 逝く

先週末、義母が永眠した。87歳になったばかりだった。
連休は越せないかもしれない、との連絡を受け、病院へ急ぐ。様子をみたところ、呼吸は荒いが4月の危篤時よりも元気そうに見えたし、数値も少し落ち着いたため、次の日また来ようと帰宅した直後に息を引き取った。
レビー小体型認知症が発覚してからちょうど10年。
徘徊できないくらいの怖がりな義母が、死に近づいてゆく恐怖を感じることなく最後を迎えられたのがなによりの救いだ。
葬儀のお別れの儀式、白と薄紫の花で埋めつくされた棺の中の義母は美しく、まるで　”Sleeping　Beauty"　だった。　

　　僕のときは　コスモスいっぱいで頼むよ　〇〇寺で

かつて亡き義父が詠んだ字余りだらけの句に、義父はコスモスの花が好きなのだと思い、
「パパ、秋じゃないとコスモスいっぱいは無理だよ。」と笑っていたのだが、夫より年長の従兄弟たちから、義母が嫁いできた当時「コスモスの君」と呼ばれていたことを教えてもらい、義父の句の意味がわかった。
年をとっても楚々として、細く柔らかく、美しい人だった。
「コスモスの君」の祭壇にコスモスは用意できなかったけれど、義母が好きな薄紫のトルコキキョウを飾った。


パパのドイツ土産だったシュタイフベアに冥土のお供をお願いした。ママが怖がらずに、パパのところへ行けますように。