足し算のおしゃれ

無地のベーシックカラーやプレーンアイテムを用いたミニマムスタイル、引き算のおしゃれがもてはやされて久しい。
着る人の魅力（外見・内面・これからのあり方）を最大限に引き出す色、カッティング、素材の組み合わせを知り、自らが覚悟を持ってアイテムを厳選していけば、ミニマムスタイルはおしゃれ業界人のみならず我々一般人にとっても、さほど難しいものではないだろう。
自らが覚悟を持つ、というのが一番の鍵だ。
覚悟を持つこととライフプランとおしゃれの関係については書籍ケチケチ贅沢主義 をぜひお役立てください。

5年前にTHE SALTORIALISTでトップ画像を見たとき、本当にセンスのよいおしゃれ上級者はやはり足し算がうまいのだ、と再確認した。（THE SALTORIALIST　2010年5月22日　より）
頭に巻いたスカーフから、迫力満点オールドハリウッドスタイルのファー付きヴィンテージコートにスネークジャケット、一転して可憐なお花刺繍のワンピース、ハンドメイド感たっぷりのブーツに籠。アイテムのテイストはどれもバラバラなのにすっきりとまとまり、誰にも真似できない彼女のスタイルとして成立してる。

時代が違う。もちろんそうだ。
上級者すぎてコーディネートの参考にならない。たぶんそうだろう。
多くの写真家やデザイナーに起用された売れっ子モデル、そして後にデザイナーとして成功を収めた"Mom"だから。と言ってしまえばそれまで。

しかし、たとえ目指す方向性とは違っていても、アンテナにひっかかった素晴らしい存在を記憶の片隅にとどめておくことは、ありきたりな表現だが「引き出し」を少しずつ満たしていくことにつながる。それは自分の中で消化され、いつか別の形となって日々の生活の中でぽっと現れる。
それこそがセンスだと私は思っている。

GINZA(ギンザ) 2015年8月号「CRAZY? A GO!GO!」も面白い視点でワクワクしながらページをめくった。脳内BGMはもちろん”Let's Go Crazy"　by　殿下。