米原万里のオススメを教えてください。

日頃どんな本を読んでいるのかを知られると、頭の中を覗かれているみたいですごく恥ずかしい。というか照れくさい。
最近はお金関係の本ばかりなので、なおさらそう思う。
muccoの頭の中を脳内メーカーで見ればきっと、かね・カネ・金だらけだ。
ケチがいまさら何を言うか、などの突っ込みはナシでお願いします。

風が冷たい季節になると読みたくなるのが米原万里。
まずは手持ちの数冊を読み直して。
面白い本は何度読んでも面白いものです。だから手元に残っているわけだけれど。
先日『打ちのめされるようなすごい本 』を買い足しました。
米原氏が、ハリー・ポッターにハマった、ことや、斎藤美奈子著「趣味は読書」がベストセラー「朗〇者」をメッタ切りにしている様子をやけにうれしそうにとり上げたり、など些細なことでも、私のような俗っぽい凡人はうれしくなります。
しかし全体として一冊一冊の書評が丁寧かつ重厚。
「ああ、私が10人いれば、すべての療法を試してみるのに」など添えられた米原氏の闘病生活を思うと、弱音を吐かない分だけ胸が締め付けられ、なかなか先へ進みません。
読者の皆さま、米原万里著作のオススメ（トップ画像の5冊以外で）がありましたらぜひ教えてください。
よろしくお願いします。

米原万里の作品で好きなのは『オリガ・モリソヴナの反語法』
旧体制と時代に翻弄されてきた女性達の、重くて暗い前半の人生と、それをつき抜けたかのように軽妙な後半の人生。
ダンスシーンの鮮やかな描写と、「んな、無茶なっ!?」と笑いながらもそのつじつま合わせに思わず納得のストーリー展開が楽しめる小説です。
あとがきにある膨大な量の参考文献がそれを可能していたのですね。
何度読んでも楽しめます。
もっとダンス関係のエッセイや作品を書いてほしかった。
そして、もう一冊。
「嘘つきアーニャの真っ赤な真実 」は衝撃的ともショッキングとも違う、もっと静かで力強く自分の中にある何かが突き動かされた作品でした。
この本をきっかけにして、国の体制に左右させずのんきに過ごせた自分の子供時代がいかに幸せであったかを知ったし、世界の中での「日本」という国と、その日本の中での今の自分の立ち位置について、わずかですが考えるようになりました。


米原万里といえば・・・
日中英語を操る友人Kちゃんは、作家以前に一流通訳として活躍中だった頃の米原万里と仕事をご一緒したことがあるのだそう。
ロシアから表敬の方々がいらした際、Kちゃんが米原さんにロシア語で「こんにちは」は何と言うのかたずねたところ、もちろんきちんと「Здравствуйтеズトラーストヴィチェ」と教えてくれたあと、こう一言「ズロース一丁、って覚えると簡単でしょ？」。
あぁ、なんだか「米原万里」らしいエピソードだ・・・
そのときKちゃんがどのように反応したのかは不明だけれども、いい思い出だね、Kちゃん。